第3章 自動車の任意保険には加入すべきか?
任意保険って、かなり高額ですよね?
任意保険の補償の中でも、車両保険やその他諸々のオプションを付けたり、年齢制限を解除したりすると年10万円以上支出することになります。
同じ条件で任意保険を10年かけ続けたら、約100万円以上とかなり痛い支出となります。
加入しなくて済むのなら、加入したくないし、支出は少しでも抑えたいですよね。
そこで、任意保険に加入すべきかどうか、加入するならどんな補償が必要なのかについて自論も交えて話したいと思います。
目次
- 結論
- 強制保険と任意保険
- 強制保険(自賠責保険)とは
- 自賠責保険の補償内容
- 任意保険の必要性
- 任意保険の補償内容
- 任意保険には加入すべきか?
- 弁護士特約は加入すべきか?
- 車両保険には加入すべきか?
- その他の補償は加入すべきか?
- なぜ、補償は最低限でいいのか?
結論
万が一に備えて入っておくのが自動車保険、多額の損害賠償に備えるためにも、
任意保険は加入したほうがよい
と、私は思います。
その理由の説明の前に、まずは自動車保険について説明したいと思います。
強制保険と任意保険
自動車保険には、
強制保険と任意保険
の二種類があります。
強制保険は、言葉どおり強制的に加入しなければならない自動車保険であり、任意保険は加入するかどうかを自分の意志で決めることのできる自動車保険です。
では、強制保険と任意保険にはどの様な違いがあるのでしょうか。
強制保険(自賠責保険)とは
自動車損害賠償責任保険の略称であり、道路を通行する自動車(自動二輪、原付を含む)は強制的に加入を義務付けられている自動車保険のことで、法律で規定されていますし、加入を怠ると罰則もあります。(以降は自賠責保険として説明します。)
自賠責保険は、自動車を指定してかける保険なので、交通事故の時に誰が運転していたのか、誰が自賠責保険をかけたのかを問わず補償されます。
自賠責保険の補償内容
自賠責保険は自動車事故の
相手方のケガについてのみ補償
します。
具体的には、相手方の治療に関わる費用、仕事の休業損害、慰謝料等を補償します。
ただし、補償額には限度があり、
○ケガの場合
最大120万円(被害者1名に付き)
○後遺障害の場合
程度により最大4000万円以下
○死亡の場合
最大3000万円以下
となっています。
また、補償内容とその補償額は、
○ 治療費・・診察、入院、手術等の実費
○ 看護料・・1日4200円
○ 諸雑費・・1日1100円
○ 休業損害・・1日6100円以下
○ 慰謝料 ・・1日4100円以下
等上限が決められています。
任意保険の必要性
自賠責保険は自動車事故の相手方のケガに対して補償する保険であることを話してきましたが、相手方の車や物品の損害、自分のケガや自分の車や物品の損害についての補償がありません。
また、相手方のケガの程度によっては、高額な損害賠償を請求されることがあり、自賠責保険の補償では不足する場合も少なくありません。
ちなみに、人身事故の最高賠償金額は5億2,853万円(医師が死亡した人身事故)、物損事故でも最高賠償金額2億6,135万円(建物の損壊事故)の支払いを命じた判決があります。
そのため、自賠責保険による補償の不足分を補う必要があります。
そこで、自賠責保険では補償されない部分を補償するのが任意保険であり、加入するかどうかは自分の意志で決めることのできる自動車保険です。
例えば、自賠責保険の限度額を超えて賠償金を請求された場合や自分自身が死傷した場合、相手方の車や物品を壊してしまった場合等です。
何度も説明した通り、任意保険の加入の義務はありませんが、多くの方(加入率は約7割)が加入しているのが実情です。
任意保険の補償内容
任意保険が補償する内容については次の通りです。
○ 相手への補償
対人賠償・・相手の死亡、ケガの治療費
休業損害等
対物賠償・・相手の車や物品の損害
○ 自分や同乗者への補償
人身傷害、搭乗者傷害・・自分や同乗者
の死亡、ケガの治療費
休業損害等
○ 自分の車の補償
車両保険・・自分の車の損害 等
○ オプション
弁護士特約・相手方への賠償請求を
弁護士に委任する特約
等があり、各補償を自由に選択し、補償金額も自分で決める事ができます。
任意保険には加入すべきか?
ここから以降は、私見なので、参考にしていただけたら幸いです。
先にも話した通り、自動車事故は、相手方のケガや車、物品の被害の程度によって、賠償額が高額になるリスクがあります。
このリスクを回避するためには、任意保険のうち最低でも相手への補償として、
対人賠償・・無制限
対物賠償・・無制限
弁護士特約
ファミリーバイク特約
(バイクをお持ちの方、説明省略)
には加入すべきだと思います。
弁護士特約は加入すべきか?
弁護士特約とは、
自分が被害者的な立場であるときに、
賠償請求を弁護士に委任するサービス
のことですが、この特約はつけた方がいいと私は思います。
その理由について説明すると、交通事故を起こし、お互いに不注意が存在した場合、その不注意の割合を
過失割合7対3、8対2
等と表現し、この過失割合を基準として示談交渉が行われます。
車同士の交通事故であれば、自分の任意保険会社は過失割合に応じた賠償金を相手方に補償します。
同様に、相手方の任意保険会社も過失割合分の賠償金を補償してくれます。
仮にお互いの言い分が違うなど交渉が難航したとしても、任意保険会社同士が調整するため、自分自身が相手方と示談交渉することはありません。
しかし、自身が過失割合10対0(例えば追突事故)の被害者となった場合、自方の任意保険会社は相手方に何ら保障することがないことから間には入ってくれないのです。
この場合、自分自身で相手方と示談交渉をしなくてはならず、手間と精神的苦痛が生じることになります。
そこで、自分に代わって弁護士が相手方に賠償請求を行うことのできるサービスが弁護士特約なのです。
車両保険には加入すべきか?
車両保険とは、自分の車の損害を補償する保険です。
車両保険には、高額な『一般型』、比較的低額な『エコノミー型』の2つのタイプがあり、補償については、ここでは詳細には説明しませんが、一般型の補償は、
車やバイクとの交通事故
単独事故、自転車との事故
当て逃げ、飛び石による事故
洪水、盗難、悪戯
となっています。
車同士の交通事故であれば、相手方の任意保険(対物賠償)から自分の車の損害を補償されることになりますが、既に説明した通り、当事者双方に過失がある場合、相手方からは過失割合の分しか補償されないので、残りは自分の車両保険により補償を受けなければなりません。
任意保険加入者のうち4割の方が車両保険に入っており、新車なんか購入していたら車両保険には是非とも入った方がいいような気がしますが、車両保険は高額で、年間平均3万5千円程(10年間で約35万円の掛け捨て)かかるんです。
しかも、車両保険が使えるケースは実は少ないんです。
なぜなら、
任意保険を使うと、保険の等級が
3等級下る
ことになるため 、
3年間は任意保険の保険料が上がる
ことになるんです。
そこで、3年分(下がった等級が元に戻るには3年必要)の上がった分の保険料が修理代よりも高ければ、車両保険を使わずに、自分で修理代を支払うというケースが多いんです。
よく考えてみましょう。
皆さんは今までに交通事故を起こしたことがありますか?車両保険を利用したことがありますか?
ほとんどの方が、経験なし、または1度か2度ではないでしょうか?
交通事故なんて、10年に一度起こすかどうかの確率で、しかも自分の車の修理代が何百万円もかかるような大きな事故を起こす確率なんて、今後もかなり低いとは思いませんか?
修理代が10万円や20万円程度の自損事故であれば、既に説明したとおり、使いたくても車両保険は使えず、自分で修理代を支払うことのほうが多いのです。
せっかく車両保険に加入しているのに、いざというとき使えないなら、加入する意味なんてないと思いませんか?
私は、車両保険には入らず、車両保険代10年間分約35万円は貯蓄に回しています。
私は、リスク対策費として100万円を貯蓄しています。
少な!って笑われるかもしれませんが、100万あれば当座のリスクには十分だと考えます。
私は、もし自損事故を起こしても、修理代は100万円の中から支出しますし、100万円を超えるようならば諦めて中古車なら十分購入出来ます。
私は、
損失の少ないリスクは保険に頼らず
リスク対策費で備える
方が、より資産を増やす賢明な生き方だと思うのです。
その他の補償は加入すべきか?
これまでに説明した対人賠償及び対物賠償、弁護士特約以外の補償やオプションの必要性については、意見が分かれる所だと思います。
交通事故は、10年〜20年で1度あるかないかの低確率で起こり得ると思います。
しかし、日頃から無謀な運転をせず、セーフティドライブに努めていれば、加害者側となる確率や大きな事故を起こす確率は、さらに低くなると思います。
あくまでも確率の話なので、交通事故は絶対に起こさないとは誰しも断言できませんが、かといって僅かなリスクに対し、過剰に補償することは、お金の無駄、保険会社の思う壺であると私は思うのです。
私は、色々なリスクにすぐに対応できるある程度のリスク対策費を保有している方ならば、対人賠償及び対物賠償、弁護士特約以外の高い補償やオプションに加入する必要はないと思います。
私が必要ないと思う補償
・ 人身障害(自分のケガへの補償)
○ 相手が車の場合は、相手方の強制
保険及び任意保険から補償される。
○ 別に自分で掛けている生命保険で
補償が受けられる。
・ 搭乗者障害(自分の車の同乗者への
補償)
○ 相手が車の場合は、相手方の強制
保険及び任意保険から補償される。
○ 同乗者が他人であれば、高額補償を
かけるべきである。同乗者は家族
のみに限定する。
・ 車両保険(自分の車に対する補償)
○ 相手が車の場合は、相手方の過失
割合分の補償を修理代に当てる。
○ リスク対策費100万円を修理代や
中古車購入費に当てる。
・ 降りても特約、代車提供特約、個人
賠償責任特約
○ リスク対策費100万円で賄う。
なぜ、補償は最低限でいいのか?
リスク対策費100万円の発想については、
損失が小のリスクには、貯蓄で備える
損失が大のリスクには、保険で備える
という考え方からきています。
リスクを恐れてあれもこれもと保険に加入すれば、確かにあらゆるリスクを回避することは可能ですが、その支出は多く、資産は中々増えないことになります。
収入は増えないのに支出は色々と必要ですよね。
自動車の保険代だけではなく、光熱費、食費、子供の教育費、単発でやってくる自動車の購入費用や冠婚葬祭費などが発生し、手元の資産は増えにくいのです。
だからこそ、必要ではない支出を減らして資産を少しでも増やす工夫をしていかなければなりません。
今回、車両保険に入らないだけでも、10年間で約35万円の節約になります。
新車のうちの3年間だけ加入したとしても十分の節約です。
自動車の任意保険も含めご自分の保険の加入状況を確認し、必要ない保険に加入していないか検討してみては如何でしょうか?